パンモロの嵐だが色気は壊滅的に無い。

 短編の神、長編の凡人。

 水上悟志というと概ねそんな認識でいるのが普通であろうかと思われますが(もちろん、全く知らないなどというはしたない漫画読みなど存在していようはずもない)、いやぁこいつははイイね。長編でも神になれるかな?(と煽ってはみたが、リアルタイムで読んでいるので実際は百も承知である。)
 夕日(主人公=♂)の成長物語としての側面があり、「姫」の目的への興味もあり、……でいて、それらの要素は決してヌルくないのに誌面から伝わってくる雰囲気は何処となく牧歌的というか懐かしさがあるというか。

 ある日雨宮夕日が目を覚ますと目の前に喋るトカゲが居た。「お前はトカゲの騎士に選ばれたのだ」とか意味不明なことを云うから窓からぶん投げた。
(中略)
 本当に目の前に「敵」が現れて絶体絶命、そのとき「姫」が現れて、最高のタイミングで横合いから殴りつけた! エイメン!(嘘)
 そして次元の違う戦いに夕日ドン引き。「騎士だか何だか知らんが俺の関わる余地ないじゃん」

 ……というのが第二話半ばぐらいまで。(作中ではエイメンとか云わない。)
 何だかんだあって夕日は姫に付き従い共に戦うことにはなるのですが、その契機は中々イカれてて素敵なのでここでは伏せておきます。


 軽く触れましたが「夕日の成長物語」というのは多分あんまり正確じゃなくて、「半端モンの夕日が半端モンなりに『ホンモノ連中』とどう渡り合って行くか」という点がキモであろうかな。(成長といえなくもないがちょっとニュアンスが違うんだ。)

 ……といった王道な要素と、如何にも当世風な姫のブッ飛んだ造形とが同居した、……まぁ、「味わい深い」と云えば大外しはしてないでしょ。
 嫌いじゃないっすよー。

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