すっげー微妙。
……いや、えっと、良い意味で微妙。
田舎の村がありまして、ここには3つの「家」がありまして、で「村長」をどの家が出すかで骨肉げな有様でした。
跡取りに恵まれなかった「一の家」で、待望の跡取りが──しかも、双子で──生まれ、そのまま彼らは成長していったのですが、「十三歳の儀式」の時に、双子の片方が井戸に落ちて死ぬという事故(事件?)が発生します。
それでももう一人そのまま成長し、やがて「二十三歳の儀式」を迎えるのですが、そこで今度は彼が首を切られて殺されてしまうのでした。
……殺人事件の本体についての概略を述べるとこんな感じです。あ、括弧内は作中では固有名詞が与えられています。(そのまま書いても判らないので一般名詞で説明)
すっげーぶっちゃけますが事件そのものはあんまり面白くない。
なんというかな、まだるっこしい周囲の説明が多すぎで、雰囲気があるといえば雰囲気はあるんだけど、雰囲気にシフトしすぎで「状況を読者が整理して脳内で再現する」といった読み方には向いていないというか無理。(俺の場合は、ですがね)
本作、ざっくり450ページあるのですが(原稿用紙換算で千枚前後かな)、ざっくり380ページまでは「雰囲気を味わう」「広義のミステリ」に分類される作品だと思っていました。380ページって何よ? ……無論、「解決編の始まり」ですね。
いやいやいや吃驚ですね、雰囲気ばっかりで(本格)ミステリ的にはイマイチと思っていたら、という。野球で云うとフォームがアンダースローで「打たせて取る技巧派か」と思ったら胸元に160km/hがギュン! みたいな。
とにかくね、俺的に「本格」の何が楽しいって、こちらの予想をひっくり返されることほど楽しいことはない訳ですよ。
で本作の場合、本編の解決自体は「ふーん」程度なんだけれども、その後の周到さ、というか、「本編だと思っていたものがデコイだった感」というのかな、これが最高。「ほう」「ふむ」「なんと!」……かな。
説明が隔靴掻痒ですねw ……書けねぇもんなぁ、こんなの。
ページ数が2/3ぐらいに圧縮されてれば「誰彼問わずとりあえず読め」レベルで薦められるんだけど、流石にちょっと躊躇はあります。(道中が苦にならないなら良いんだけど、人を選ぶんじゃないかなー。)
がしかし、これはちょっとした収穫ではありました。金と暇があるなら、是非です。